床や椅子で楽器の音も変わる
この演奏台 ノーブルサウンドシステム演奏台と名付けたヒノキ製の音響向上器具です。私(当ホームページ管理人 川上登)がここに到るまでをお話します、興味のある方はお付き合いください。
This short story is how I came to make the "Noblesound System Playboard.

私が、ギターを始めた頃読んだ本にタバコを包んでいる銀紙をサウンドホールからギターの中に入れると音の内部の反響が向上するのでギターがワンランクアップする、お試しあれ!というのがありました。
Years ago I read following line "Put an aluminum foil in your guitar. It will improve inside reverberation of your instrument, then your guitar is no doubt one rank up. Try it!
当時の私の鳴らない楽器にとってこの方法は多少効果があったと記憶しています。それも、その後に楽器を買い替えてからはアルミホイルのお世話になることも無くなりました。
It was good for my first cheap guitar. It lasted until I bought better one. Then I learned to keep inside clean is good not only for the sound but also for my guitar's health.
1987年(昭和62年)著名なオーデオ評論家である江川三郎氏が床材の研究をされていて、公開の実験会をされるという記事が新聞に載り,私は仕事を休んで品川まで聴きに行ったのでした。
In 1987 I had a chance to attend an open test performance about materials for the music stage by Mr.Saburou Egawa(top audio critic) and his groop.
そこで衝撃的な体験をしました。まず木材の種類によって響きが変ること、それと木目の方向と音の指向性が密接に関係していることでした。実験は舞台に見立てた色々な材質の板の上で、人の声とピアノ演奏の音がどの様に変わるのかを実際にやって見るという方法で行われました。人の声でも大分変化しましたが、特にピアノの時は音場が広がり,低音部が豊かになり、また使用部材による音の変化がはっきり判りました。
In the meeting he showed us the stage materials change the sound very much and the grain of the wood should be payed much attention when we built stage.
床材によって音が変わるという理由は、床を振動させる何かがあるということです。それは楽器の振動エネルギ-の床への流出です。ピアノ、マリンバ、チェロ、コントラバスなど、楽器の一部が常に床に接している楽器は無論のこと、声楽家や、一見無関係のように見えるギターなどでも、骨伝導によって、音のエネルギ-の床への流出が起っています。
I understood the energy which changed the original sound comes not from the instruments itself but indirectly throough the bone to the chair and floor.
百聞は一見に如かずです。家にある色々な椅子を並べてギターを弾き比べてみてください。スチールパイプ椅子、クッション効いたソファー、木製のシンプルな椅子、ピアノ椅子、等々。私のスタートもこれでした。良い音のする椅子(ギターではなく)を探し回っていた時期がありました。
I hope you to try playing your guitar on various chairs you have as I did. You will be surprised to know how much the sound change by the chair.
私が聞き取った感じでは、クッションの効いた椅子は、流出したエネルギーが吸い込まれてしまい、楽器本来の音だけが聞こえると言えましょう。しかしなんとなくパワー不足な感じもしました。金属製の椅子では明らかに音が痩せて硬くなりました。良かったのは木製椅子とクッションの薄く硬いピアノ専用椅子でした。
In my opinion, good chairs for guitarplaying are simple wooden chair and thin and hardcushioned piano chair. The metal chair changes the warm guitar sound poor. And good cushioned chair has a little bit poor sound in bass part.
多分ギター製作家も、知らずに知らず、いつも使っている作業用の木製椅子に座ってギターの音を聴き、言い換えると、骨伝導で流出した振動エネルギーが椅子を鳴らした音がミックスされた状態の音を聴きながら、ギターの音の出かた、バランスを微調整しているのに違いないのです。とすると、ギターにミックスされる音を出す椅子や床材は無視できない存在になってきます。
Then I thought guitarbuilders are making their guitars through testing the sound sitting on a chair (hearing the mixed sound). But I am not sure that they notice the fact"they are hearing the sound of singing chair".
では、演奏用椅子や床材の材質は何が良いかですが、この点は材料が入手可能かどうかもあり、私の場合、昔から能や歌舞伎の舞台で使われている檜(ひのき)を使うことにしました。檜舞台という言葉があるぐらいですからきっと檜舞台上では良い音が響くはずと思ったのも一因です。
I started to make my Playboard with Japanese cypress which had been used
for traditional stage like Nou and Kabuki. I could buy it easily at that
time.
ギターという運搬が容易な楽器を考えたとき、演奏台は出来る限り小さくしたいと思いましたが、小さくすると効果も弱くなってしまいます。そこで私は積層構造で、演奏椅子、足台も製作し、その表面積は、畳にして六畳分という充分な広さを確保することが出来ました。
To make the Playboard small I made it multilayered which has a hollow between each layer. I also made chairs, foot stools in same style.
出来上がった演奏台については、現代ギター誌をはじめ、NHKTV ラジオ 新聞等の取材を受け世間に紹介されることになりました。また私もホール(市ヶ谷ルーテルホール他)に運び込んでチェリスト、ピアニスト等にも乗って頂き、ギタルラ社でのサロンコンサートで荘村清志さんにも使用して頂いたりしてその効果をチェックしました。

現代ギター1988年(昭和63年)5月号
After I made the Playboard I had some interviews with TV, radio,and the
press. I also took the Playboard into concert halls and checkd the effect
with professional cellist and pianist.
The most remarkable effect of the Playboard is expansion of dynamic range, espcially lower side. Whenever I play my guitar on it I feel happy surounded by rich sound ever heard.
追記 P.S.
2008年(平成20年)現代ギター誌3月号にギター支持具総点検と題して、市販されている足台、膝に乗せるサポート器具の使用実体験報告が載っておりました。その中に色々な足代の中に市販はされていない唯一の足台として、私の作った足台がレポートされていました。ギタリストの井桁典子、鈴木大介両氏とオーディオに詳しい朝倉信章氏が評価を下しています。
現代ギター2008年(平成20年)3月号
それによると、明るく柔らかい音がする。穴の方向を変えると音が変わる。(井桁氏) 飛んでる感じというか、地面に滲みこんでしまうような音。ポイントがない。(鈴木氏) ユニークなデザインで、見た目が美しい。ふわっとした柔らかい音になる。(朝倉氏) という評価でした。20年前に現代ギター社に参考品として持ち込んだ品が、はからずも採り上げられたのには驚かされました。足台のような小さな器具で音の変化を感じ取ろうとするのはとても難しいのですが、このテストに協力された皆様方のご努力に敬意を払いたいと思いました。
尚、実験に際しては演奏者がラバー底の靴で演奏されていたようですが、ラバー底の靴は振動を遮断するので、皮底の靴で実験されたら良かったのにと感じた次第です
Twenty years after of my first announcement my foot stool was picked up again in the march 2008 "Gendai Guitar". Mr.Asakura commented"The stool has very unique and beautiful design, and changes the sound soft.
2012年(平成24年)12月18日、薩摩琵琶奏者中村鶴城さんが教室に見えられました。広い会場や音響の条件が悪い所で演奏する時、琵琶の本来の音が聴衆に届かないのをなんとかしたいと考えておられるとの事、近くで聴く生の琵琶は表情も豊かで圧倒されます。来年の夏N響とヨーロッパ公演に行くのだがそれまでになんとかしたいとのお話でした。

演奏台に乗って弾いて頂いた中村さんの感想は、確かに音量がアップする、音も柔らかくなるとのこと、一つ試作して見ようかと、寸法などを測っていかれました。中村さんのホームページを拝見すると楽器製作,作曲、著作、絵画その幅広い能力に驚かされます。
駅までお送りし別れ際に3月にNHKBSでN響とのノーベンバーステップスの共演の放送があるとお聞きし、録画して聴きましたが、やはり中村さんがお嘆きになるのも無理がないと感じました。あれだけ広い会場だと確かに楽器の持っている能力の半分も伝わって来てないと思いました。
December18th in 2012 the famous Japanese lute player Kakujou Nakamura came up to my room. He has been asking to bring his lute sound more rich to the audience. He is going to go to Europe to play Takemitu's November Steps with NHK Philharmonic Orchestra in next summer. He said the playboard works much, he's going to build one before next summer.
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